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特集 子宮癌診療の進展
治療
子宮癌のラ照射法の現況
Radium therapy for uterine cancer as it is
清水 直太郎
1
Naotaro Simizu
1
1九州大学温研産婦人科
pp.1113-1120
発行日 1959年11月25日
Published Date 1959/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202086
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子宮癌のラ照射法は大別して,大量の線源をもつての遠距離照射法と,比較的小量の線源をもつての照射法とがある。前者はレ深部照射法をラのγ線で行うのに相当し,従来の20万ボルト足らずの電圧で得られるレ線による深部照射と比較して,遥かに優秀な効果があげられているが,ラが非常に高価なために極めて少数の施設で実用されているに過ぎない。最近ラよりも著しく安価なγ線放射体として放射性アイソトープCo60が活用されるようになり,γ線の遠距離照射法はラに代つてCo60によつて広く実用されるようになつた。従つて今日子宮癌へのラ照射法は一般には小線源によるもののみである。なおこの場合にもCo60をラに代用出来るので,今後ラ治療は安価であり,しかも取扱いが便であるCo60による照射に全面的に置き換えられる傾向がある。ラの小線源で照射する場合の特徴は,実際に使用する放射線がγ線であることよりも,線源を病巣に強く接近させ,従つて線強度が距離2乗に反比例して著減するために,病巣のみを局部的に強照射出来ることにある。しかし他面,この点は短所にもなる。即ち病巣が多少広く厚い場合には照射が不均等になり,又直達出来ない病巣では線源と病巣との間の部分のみが無用に強く照射される。よつて子宮癌治療に於けるラ照射の役割としては,腟,子宮腟部,頸管,子宮腔等,外界から直達出来る部位の病巣を局部的に強照射するのが主である。
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