今月の臨床 胎児治療—どこまで可能か
疾患と治療
14.水頭症
原 量宏
1
Kazuhiro Hara
1
1香川医科大学母子科学教室
pp.308-309
発行日 1992年3月10日
Published Date 1992/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900776
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水頭症の成因
先天性水頭症は2,000〜5,000分娩に1例発生する。成因として髄液の循環障害による非交通性の水頭症と,吸収障害が主な交通性水頭症に大きく分類される。前者にはAqueductus stcnosis(中脳水道の閉鎖で遺伝性の場合がある),Dandy-Walker症候群(Magendie,Luscka孔の閉鎖,小脳虫部の欠損,第4脳室の嚢胞),Arnold-Chiari奇形(髄膜瘤を合併することが多い)があり,後者は出血などによりクモ膜下腔が閉鎖し,吸収不全が原因と考えられている。これらの疾患のうち,出生後の手術的治療を含め,適切な管理によって予後の改善が期待できるのは,Arnold-Chiari奇形と,中脳水道の閉鎖など,単純な交通性水頭症のみとされている。Aqucductus stenosisとDandy-Walker症候群など,脳実質そのものに原因のある水頭症では,出生後もしくは子宮内てshunt術を行っても神経学的予後はほとんど期待できないとされている。
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