今月の臨床 妊娠と免疫
妊娠合併症と免疫—母児をどう扱うか
27.妊娠と甲状腺
高木 哲
1
,
網野 信行
2
Tetsu Takagi
1
,
Nobuyuki Amino
2
1大阪厚生年金病院産婦人科
2大阪大学医学部臨床検査診断学
pp.214-216
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900752
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甲状腺疾患のうち機能異常をきたす代表的疾患としてバセドウ病や橋本病があげられる。これらは現在,臓器特異的自己免疫疾患と位置づけられており病因的には同根とも考えられる。妊娠中は生理的に免疫抑制状態でありバセドウ病などは妊娠中期以降は軽快がみられる。しかし,出産後はそのはねかえり(immune rebound hypothesis)によって増悪をみる1)。すなわち,周産期管理をすすめていく上で重要なことはこれら疾患の病態を充分に把握し,最も効果的な対応をしていくことが要求される。そうすれば,正常妊娠とかわりない経過をたどることができる。今回は機能亢進・低下症に分けて,管理の実際を解説する。ただし,新生児甲状腺機能異常症の詳細は割愛させていただく。
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