増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
免疫血清検査
60.HTLV-I
吉原 なみ子
1
1国立予防衛生研究所・エイズ研究センター
pp.1768-1769
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222749
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●HTLV-Iの特徴と疫学
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)によって引き起こされるATL(adult T cell leukemia,成人T細胞白血病)は高月らにより日本で発見された白血病の一種である1).ATLは日本の南西地域に多く見られ,発症すると治療薬がなく,ほとんどが1年未満で死亡する.HTLV-IはAIDSの原因ウイルスであるHIVと同様レトロウイルスに属するが,HIVが細胞破壊性であるのに対して,HTLV-Iは長期間,宿主のリンパ球に組み込まれキャリアとなり,1,000〜2,000人に1人の割合で腫瘍化するHIVとは全く別のウイルスである.
20歳代から70歳代の成人に発症し,特に45歳代で発症率が高く,性差はほとんどない.日本の南西部が多発地域で,カリブ海沿岸とアフリカの一部に見られる.
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