今月の臨床 妊娠と免疫
妊娠維持と免疫
14.妊娠中のサイトカイン
角田 肇
1
Hajime Tsunoda
1
1筑波大学臨床医学系産婦人科
pp.180-181
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900739
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最近の免疫学の目覚ましい発展のひとつとして,数々のサイトカインの発見とその作用機序の解明を上げることができよう。サイトカインの総説は先に載っているし,他にも優れた総説,著書があるのでここでは割愛するが,産婦人科学的に注目すべき点はこれらのサイトカインがリンパ球やマクロファージなど免疫担当細胞間で産生され作用するのみでなく,造血系細胞やその他の種々の細胞,臓器に対して増殖因子や分化因子として働き,ペプチドホルモンや別のサイトカイン産生を促進するといったような生理的活性を有していることであろう。このことは妊娠・分娩を生殖免疫学的に考えるときに,サイトカインが母児の免疫機構に作用するのみでなく妊娠中の胎児,胎盤に対して増殖因子として作用し,さらには分娩時の子宮収縮にも関学している可能性が考えられている。
そこで,本稿では現在までに明らかとなってきている妊娠中のサイトカインの動態について概説し,その考えられる役割について述べてみたい。
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