今月の臨床 計画妊娠—合併疾患への対応
既往歴
25.妊娠中毒症
佐藤 和雄
1
,
三宅 良明
1
Kazuo Sato
1
,
Yoshiaki Miyake
1
1日本大学医学部産科婦人科学教室
pp.1304-1306
発行日 1991年11月10日
Published Date 1991/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900623
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妊娠中毒症の病態に関しては多数の研究報告があるが,その成因は未だ不明のためその発症を予知し,予防対策を講じることは困難であるとともに,純粋妊娠中毒症の大半が初産婦に多く,次回妊娠では全く正常妊娠分娩経過をとることが多いため,現段階では計画妊娠のみならず,これに対する適切な対応策があるわけではない。しかし近年,妊娠中毒症を初期子宮胎盤溢血に起因するprostaglandin(PG)代謝異常による血管感受性亢進状態とも考えられており,妊娠初期子宮胎盤血流波形,angiotensin-Ⅱ(A-Ⅱ)負荷試験などの早期発症予知法が試みられるとともに,その発症予防対策(低容量aspirin療法,Ca大量療法)が検討されつつある。また妊娠中毒症の反復例や妊娠毎に症状の増悪をみる場合にはむしろ潜在的に母体合併症をもつことが多いため,妊娠初期からの精査と厳重な母児管理が必要となる。
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