今月の臨床 子宮筋腫—こんなときどうするか
治療をめぐるコントラバシー
18.子宮筋腫の手術にふみきるタイミング
半藤 保
1
Tamotsu Hando
1
1香川医科大学母子科産科婦人科学
pp.1180-1181
発行日 1991年10月10日
Published Date 1991/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900585
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いかなる疾患にせよ,手術を行う以上適応を十分吟味しなければならない。適応には絶対的適応と,相対的適応とがあり,子宮筋腫の多くは相対的適応によって手術療法が選択される。わずかに有茎漿膜下筋腫の茎捻転など急性腹症のカテゴリーに入るものや,粘膜下筋腫に伴う大出血が,保存的治療法で処置できないことが明らかな時に絶対的適応となるに過ぎない。そのため,一般的に子宮筋腫の手術は適応の判断が必ずしも容易でなく,手術による患者の利益が手術に伴う患者の不利益を上回ると判断されたとき,初めて選択されることになる。近年子宮筋腫に対し,ダナゾールやLH・RHアナログなどによる薬物療法が積極的に試みられているが,これらはまだ一時的な症状軽減療法に過ぎない。将来さらにすぐれた薬物療法が登場すれば,子宮筋腫の手術を大幅に削減できるかも知れない。
子宮筋腫の手術にふみきるタイミングとしては,絶対的適応がある場合は問題ないが,以下に述べる手術の適応基準を十分吟味し,他の保存療法で満足しうる治療ができないと判断された時,患者の年齢,希望,術式(腹式か腟式か,核出術にとどめるか)などを総合的に勘案して行うことになる。
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