今月の臨床 外来でみる感染症
最近の外来でみる感染症
2.婦人科外来
清水 哲也
1
Tetsuya Shimizu
1
1旭川医科大学産婦人科
pp.898-899
発行日 1991年8月10日
Published Date 1991/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900503
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近年の抗生剤の目ざましい発展により感染症治療の奏効率は高いものとなった反面,抗生剤の汎用により感染症自体は質的な変貌をとげてきている。つまり起炎菌として過去にはグラム陽性菌が主流を占めていたが,しだいにE.coliに代表されるグラム陰性桿菌が主体となり,現在では嫌気性菌との混合感染が注目されるに至っている。さらに宿主の生体防御機構が低下したいわゆるcompromized hostが弱毒菌に犯される日和見感染(opportunistic infection)が増加し治療に苦慮することも多くなってきている。また環境要因の変化は,従来の淋疾に変わりクラミジア,ヘルペス感染などがSTD(sexual transmitted disease)の表徴的な病原微生物として注目を浴びつつある。このように医療技術や抗生剤の進歩,環境要因の変化にともない産婦人科感染症は新たな展開をむかえようとしている。本稿では婦人科外来における細菌感染症の現況を自験例をもとに概説する。
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