教室だより
核磁気共鳴現象(Nuclear Magnetic Resonance)による悪性腫瘍「イメージング」
清水 哲也
1
Tetsuya Shimizu
1
1旭川医科大学産科婦人科学教室
pp.404-405
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206622
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旭川医科大学産婦人科学教室は,官制上は昭和49年4月発足であるが,当時は居室はおろか机一つない状態で,したがって,やがて附属病院が完成し,入院患者の実質的な取扱いを開始した昭和52年1月が,臨床教室としての事実上のスタートであった。この時でさえ教室員は,助教授以外はわずか1名で,今,7名の大学院生を含む32名の教室員リストを眺めるにつけ,ほろ苦い感慨さえ覚える。以下,教室で地道な検討を続けている「悪性腫瘍の画像診断」について,その概要を述べることにする。
子宮頸癌の臨床進行期別分類を行なう際に,子宮旁結合織における浸潤の有無および浸潤が骨盤側壁に達しているか否かの診断は,きわめて重要であることは言をまたない。しかし実地上,かりに子宮旁結合織に抵抗を触知したとしても,癌性浸潤か否かの同定は「内診」のみでは困難なことが多い。あるいはまた,摘出卵巣腫瘍について,組織レベルで「中間群」に分類されたとしても,「悪性化」への"potential"の程度を推測することも容易ではない。このような場合に,もしも「組織レベル」での診断情報とは全く別の角度からの「情報」が得られるとしたら,その臨床上の「メリット」は計り知れないものがある。
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