臨床研修セミナー 女性のOsteoporosis
骨粗鬆症の一般的治療
岡本 純明
1
Sumiaki Okamoto
1
1長崎大学医学部第1内科
pp.162-166
発行日 1990年2月10日
Published Date 1990/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900028
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骨粗鬆症の一般的治療の目的には,圧迫骨折などによる痛みの改善も含まれるが,基本的な目標は骨量の増加と骨折の予防にある。近年,多くの薬剤が骨粗鬆症の治療薬として登場し注目を集めているが,上記の目的のためには,薬物治療の他に食事,運動,日照をはじめとする日常生活の指導,理学療法や悪化因子の除去なども重要である。
骨粗鬆症の治療においても,一般の疾患と同じく原因の病態の解明に基ずいて治療を進めるべきであることは言うまでもない。しかし,骨粗鬆症は,その定義である単位あたりの骨量の低下という状態を一括する症候群である。従って,一見単純に見えるが,大変に複雑な病態群から構成されている1)。特に骨粗鬆症の大半をしめる退行期骨粗鬆症の原因療法は極めて難しい現状である。ただ最近の十数年の間に骨を調節するホルモンなどを中心に骨代謝学の目覚しい進歩があった。骨粗鬆症は,いまだ他にくらべ未知の点の多い疾患ではあるが,治療的側面からも全体像の解明が進みつつある。治療におけるもう一つの重要な点は治療効果の判定である。これを定量的に判定することは,客観性の上からも必要である。ところがこの点においても骨粗鬆症は極めて判定の難しい疾患であった。最近ようやくDPAやDEXAなど骨量の定量に長足の進歩があり,治療判定に応用されるようになった。骨粗鬆症の治療が近年急速にクローズ・アップされている背景にはこのような研究の進歩がある。
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