Japanese
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連載 卒後研修講座
骨粗鬆症性椎体骨折に対する手術的治療
Surgery for osteoporotic vertebral fracture
大鳥 精司
1
,
井上 玄
2
,
藤由 崇之
3
,
折田 純久
1
,
稲毛 一秀
1
,
志賀 康浩
1
,
江口 和
1
,
牧 聡
1
,
古矢 丈雄
1
S. Ohtori
1
,
G. Inoue
2
,
T. Fujiyoshi
3
,
S. Orita
1
,
K. Inage
1
,
Y. Shiga
1
,
Y. Eguchi
1
,
S. Maki
1
,
T. Furuya
1
1千葉大学大学院整形外科
2北里大学整形外科
3君津中央病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medicine, Chiba University, Chiba
キーワード:
osteoporosis
,
vertebral fracture
,
low back pain
,
adult spinal deformity
Keyword:
osteoporosis
,
vertebral fracture
,
low back pain
,
adult spinal deformity
pp.1079-1089
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_1079
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は じ め に
骨粗鬆症患者は,自覚症状のない未受診者を含めると1,300万人にのぼると推定されている.50歳以上において男性では14.5%,女性では51.3%が骨粗鬆症であるとも報告されている.一方で,近年では社会の高齢化を背景に,骨粗鬆症患者に対する脊椎固定術が多数施行されるようになってきている.そのなかで,術後の椎体骨折や椎弓根スクリュー(PS)の弛みがしばしば散見され,重篤な術後合併症となっている.献体を用いた研究によると,骨粗鬆症患者においては,引き抜き強度が弱く,PSの弛みが生じやすいという報告がある.骨粗鬆症性椎体骨折に対するもっとも広く行われている低侵襲手術はballoon kyphoplasty(BKP)である.しかしながら不安定性が強い骨折や麻痺を伴う場合は除圧固定術の適応となる.除圧固定術には前方除圧固定,後方除圧固定,前後合併除圧固定の三つの方法がある.いずれもある程度の成績は得られているが,多くの患者が高齢であることや,また基本に骨粗鬆症があり,アンカーとしてのスクリューの固定性が十分でないことによる合併症が存在する.また骨粗鬆症性椎体骨折の遷延治癒,偽関節,変形癒合は後側弯症の原因となり,腰痛,逆流性食道炎,活動性の低下をもたらし,保存的治療で軽快しない場合は,手術的治療の適応となる.本稿では,新鮮,陳旧性骨粗鬆症性椎体骨折,もしくはそれに付随する脊柱変形の手術的治療,成績,合併症などを記載する.
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