症例
小型卵巣成熟奇形腫に発生した大細胞神経内分泌癌の1例
海平 俊太郎
1
,
上山 恭平
1
,
篠原 拓実
1
,
清水 綾乃
1
,
岡本 朗良
1
,
柿沼 薫
1
,
中里 宜正
2
,
大和田 倫孝
1
,
柿沼 敏行
1
1国際医療福祉大学病院産婦人科
2国際医療福祉大学病院病理診断科
pp.552-555
発行日 2024年6月10日
Published Date 2024/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211282
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▶要旨
われわれは腫瘍径が5cmの小型卵巣成熟奇形腫に発生した稀な大細胞神経内分泌癌症例を経験した.
年齢は57歳で,不正性器出血のため近医を受診し,超音波検査で左卵巣腫大を指摘され,精査を目的に当科を紹介された.超音波検査およびMRIでは,左卵巣が長径5cmで囊胞性に腫大し,囊胞壁の一部に充実性成分が混在していた.左卵巣成熟奇形腫の診断のもとに腹腔鏡下両側付属器摘出術を実施したところ,摘出した左卵巣には毛髪があり,組織学的に軟骨成分と甲状腺濾胞,さらに濃染核をもつN/C比高の未分化腫瘍細胞の増殖があり,大細胞神経内分泌癌の混在を確認した.腹水に悪性細胞が存在した(進行期ⅠC3期).初回手術から1か月後に子宮全摘出術,大網切除術を実施し,さらにTC療法を6サイクル追加した.
卵巣成熟奇形腫においては,特に高齢者では小型であっても摘出し,悪性組織の有無を確認することが望ましい.
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