症例
22年の経過でがん化が確認された卵巣子宮内膜症性囊胞の1例
Cokorda Rio Angelina
1
,
山本 一貴
1
,
窪田 有希
1
,
岡本 朗良
1
,
小澤 利佳
1
,
柿沼 薫
1
,
中里 宜正
2
,
大和田 倫孝
1
,
柿沼 敏行
1
1国際医療福祉大学病院産婦人科
2国際医療福祉大学病院病理診断科
pp.368-372
発行日 2025年4月10日
Published Date 2025/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698650790030368
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▶要旨
卵巣子宮内膜症性囊胞(ovarian endometriotic cyst : OEC)は性成熟期に好発し,がん化することが知られているが,われわれはOECと診断されてから長期間の管理を行い,22年の経過でがん化が確認された1例を経験した.
本例は26歳よりOECのため定期的に管理しており,初診時のOECの長径は左が42mm,右が33mmで,リュープロレリン酢酸塩3.75mgを6回投与した.37歳で結婚後に自然妊娠し,39週で胎児機能不全の診断のもとに緊急帝王切開術を施行,併せて両側卵巣子宮内膜症性囊胞摘出術を施行した.その後に不妊治療を開始し,43歳で左OECが70mmに増大したため,腹腔鏡下左卵巣子宮内膜症性囊胞摘出術を施行した.術後は不妊治療を休止し,ジエノゲスト2mg/日を開始した.48歳で左OECに充実性成分が確認されたためがん化を疑い,両側付属器摘出術,子宮全摘出術,大網部分切除術を施行した.病理診断は左卵巣類内膜癌(進行期ⅠC1期)であった.
OECでは長期にわたって管理することが重要である.

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