症例
癌性心囊水による心タンポナーデに対して心囊内シスプラチン投与が有効であった再発卵巣癌の1例
篠原 拓実
1
,
柿沼 薫
1
,
清水 綾乃
1
,
岡本 朗良
1
,
兼子 絢華
1
,
上小牧 憲寛
2
,
大和田 倫孝
1
,
竹島 信宏
1
,
柿沼 敏行
1
1国際医療福祉大学病院産婦人科
2国際医療福祉大学病院救急医療部
pp.638-642
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211008
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▶要旨
卵巣癌では癌性心囊水は稀であるが,心タンポナーデによる突然死をきたす危険性があり迅速な対応が求められる.われわれは癌性心囊水により心タンポナーデをきたした再発卵巣癌を経験した.年齢は57歳で,卵巣癌の診断のもとに根治手術を遂行し(ⅢA1期),術後にTC療法を6サイクル追加した.2年3か月後に左鎖骨上窩リンパ節に再発したが,TC療法4サイクルにより縮小した.3年4か月後に突然呼吸苦を発症し,心臓超音波検査および胸部CTで胸水および心囊水の貯留を認め,心タンポナーデと診断した.心囊水1,000mLの排液後にシスプラチン20mgを心囊内に投与し,さらにGC療法を追加して寛解が得られたが,心タンポナーデ治療後6か月で胸水再貯留のため死亡した.心囊水の再貯留はなく,癌性心囊水に対しては心囊内シスプラチン投与が有効と考えられた.
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