症例
待機的管理により経腟分娩後3ヵ月で自然排出した胎盤用手剝離後遺残胎盤の一例
水津 枝理
1
,
柿沼 薫
,
清水 綾乃
,
岡本 朗良
,
兼子 絢華
,
大草 陽史
,
岡田 真也
,
大和田 倫孝
,
竹島 信宏
,
柿沼 敏行
1国際医療福祉大学病院 産婦人科
キーワード:
MRI
,
超音波診断
,
自然分娩
,
遺残胎盤
,
待機療法
Keyword:
Magnetic Resonance Imaging
,
Ultrasonography
,
Natural Childbirth
,
Placenta, Retained
,
Watchful Waiting
pp.1811-1815
発行日 2021年12月10日
Published Date 2021/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/J00621.2022162021
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症例は34歳4妊1産。今回、顕微受精後凍結胚移植で妊娠が成立した。妊娠31週~36週まで切迫早産の診断で、入院管理を行い妊娠39週で分娩誘発を目的に入院となった。分娩誘発後2時間20分で経腟分娩に至り、3465gの女児を出生した。分娩後20分経過時、胎盤は外子宮口から露出していたが娩出せず、出血量が多くなったため胎盤用手剥離を実施した。胎盤重量は745gで一部の欠損が疑われたが、子宮収縮は良好となり出血量も減少し、経過観察となった。産褥7日目の造影MRIでは、子宮内に58×51mmの遺残胎盤を認め、胎盤には血流が確認された。産褥76日目の胎盤の大きさは56×42mmで縮小は認められなかったが、血流は顕著に減少した。産褥87日目に突如凝血塊を伴う出血を認め、その後、遺残胎盤が自然排出され、超音波断層法にて胎盤の遺残がないことを認めた。遺残胎盤の大きさは60×42×31mmで、組織学的には、間質が線維化した絨毛と、変性、壊死した絨毛が広範囲にみられた。
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