今月の臨床 重篤な遺伝性疾患の着床前診断―患者ニーズと診断・治療の現状
倫理的側面から
新しい時代の倫理学からみた着床前診断
小出 泰士
1
1芝浦工業大学
キーワード:
胚の道徳的地位
,
優生学
,
親の受容の徳
Keyword:
胚の道徳的地位
,
優生学
,
親の受容の徳
pp.236-240
発行日 2024年3月10日
Published Date 2024/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211162
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●倫理的に考えるとは,特定の価値観から善悪を判断するのではなく,さまざまな価値判断の方法(功利主義,義務論,徳倫理,原則主義など)から,物事を多角的に考察することである.
●着床前診断の是非は,依頼する女性や家族の心情を理解し,自由な自己決定を尊重するとともに,廃棄される胚の尊厳にも配慮する必要がある.
●着床前診断による罹患胚の排除は,厳密な意味では,優生学的な差別でも医療行為としての予防でもない.だが,価値判断は,無意識にその時代の社会通念に影響される懸念がある.
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