原著
当院で施行した妊娠中の付属器腫瘍手術の検討
松林 彩
1
,
高石 侑
1
,
岡本 葉留子
1
,
奥立 みなみ
1
,
松岡 秀樹
1
,
門元 辰樹
1
,
増田 望穂
1
,
柳川 真澄
1
,
山添 紗恵子
1
,
中北 麦
2
,
﨑山 明香
1
,
林 信孝
1
,
小山 瑠梨子
1
,
大竹 紀子
1
,
冨田 裕之
3
,
上松 和彦
1
,
川崎 薫
1
,
青木 卓哉
1
,
吉岡 信也
1
1神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科
2京都大学医学部附属病院産科婦人科
3天理よろづ相談所病院
pp.605-610
発行日 2019年6月10日
Published Date 2019/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209754
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▶要約
妊娠中に発見される付属器腫瘍は増加傾向で,腹腔鏡下手術の施行が多くなってきたが,安全性・有用性についてはいまだ確立されたコンセンサスがない.今回,2012年4月から2018年3月に当院で妊娠中に付属器腫瘍手術を施行した症例を後方視的に検討した.開腹手術は12例,腹腔鏡下手術は27例で,緊急手術を要したのは14例であった.腹腔鏡下手術群は開腹手術群と比較し有意に入院期間が短縮していた.分娩転帰は全例が満期分娩で,Apgarスコアの5分値も全例7点以上であった.緊急手術群と予定手術群での検討では,緊急手術群はルテイン囊胞が多く,腫瘍径の中央値は8.5cmだった.産婦人科診療ガイドラインからは6〜10cmの単房性腫瘤は経過観察が考慮されるが,今回の結果を踏まえると捻転のリスクを考慮した慎重な管理が必要であると考えられた.また妊娠中の腹腔鏡下手術は入院期間を短縮し,低侵襲で安全に手術を行うことが可能と考えられた.
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