特別寄稿
妊娠悪阻のときおこるWernicke脳症とは
高橋 克幸
1
,
鈴木 久也
2
,
岡村 州博
2
1国立仙台病院
2東北大学産婦人科
pp.149-152
発行日 1996年2月25日
Published Date 1996/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901419
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はじめに
妊娠悪阻がひどくなると,経口による栄養摂取がほとんど不可能になる。妊娠悪阻は,妊娠早期に妊娠のためにおこる消化器系症状を主徴とする症候群であるが,このうち症状が軽く,食事の経口摂取が可能で栄養障害をおこさないような場合を一般に「つわり」と呼んでいる。悪心,嘔吐がひどく食事摂取が不可能となり,そのまま放置すると全身の栄養障害をきたし,さらに頭痛,眩うん,耳鳴りなど訴えることもあるが,このような場合を一般に「妊娠悪阻(以下悪阻と略)」といっている。
しかしながら,つわり,悪阻の症状の多くは多分に主観的なものが多く,患者自身の心理的因子や環境因子が加わるため,重症度や治療効果の判定に困ることも少なくない。
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