Japanese
English
研究と報告
Wernicke脳症の1例
A Case of Wernicke's Encephalopathy
工藤 孝行
1
,
高木 洲一郎
1
,
小宮 英靖
1
,
本多 虔夫
1
Takayuki Kudo
1
,
Shuichiro Takagi
1
,
Hideyasu Komiya
1
,
Masao Honda
1
1横浜市立市民病院神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Yokohama Municipal Hospital
pp.1051-1056
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202671
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I.はじめに
欧米においては,Wernicke脳症はまれではなく,VictorとAdams19)のBoston City Hospitalの統計によれば,アルコール性神経疾患の3%を占めるという。しかし,本邦においての報告は必ずしも多くはなく,現在まで臨床例,剖検例合わせて55例であり,かつアルコール性の女性例の報告は皆無である。一方,Wernicke脳症の原因としてthiamine欠乏がいわれているが,現在までの報告例の中にもthiamineの定量的な検討例は少ない。われわれは最近,アルコール性Wernicke脳症の女性臨床例を経験し,血中thiamine値の低下を認めたのでここに報告する。また,Wernicke脳症について,自験例を含めた本邦例と欧米の報告例とを比較検討し,併せてthiamineとの関連について文献的考察を加えたい。
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