増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?
Column
妊娠初期コンバインド検査
西山 深雪
1
1国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター
pp.139-140
発行日 2017年4月20日
Published Date 2017/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209022
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妊娠初期コンバインド検査は,妊娠第1三半期に超音波検査と血液検査を組み合わせて行う胎児染色体異常の非侵襲的な非確定的検査である.妊娠初期の胎児の後頸部浮腫(透明帯)であるNT(nuchal translucency)の厚さと血清マーカー(胎盤から産生されるPAPP-A,hCG)の測定値から,胎児が21トリソミー,18トリソミーである確率を計算する.
NTの厚さと染色体異常の発生には正の相関が知られているが,NT測定値が正常範囲内であっても染色体異常の胎児は存在する.妊娠初期コンバインド検査として血清マーカーを加えることで,NT測定値からは予期していなかった染色体異常の診断につながる場合がある.つまり,NT測定単独よりも染色体異常の検出率が上昇する.例えば21トリソミーでは,NT測定のみでの検出率は約70%(偽陽性率5%)であるのに対し,血清マーカーを加えると約85%(偽陽性率5%)となる1).さらに,同時期の超音波検査で測定できる鼻骨や三尖弁逆流,静脈管血流,胎児心拍数などを組み合わせることで,検出率はさらに高くなる.ただし,超音波検査での測定には技術がいること,時間がかかること,検者によって差が生じることがあり,NT測定単独と血清マーカーで行うコンバインド検査が,より早期に安価で簡便に客観的な結果が得られる方法として,欧米で最も利用されている染色体異常の非確定的検査である2).
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