増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?
Column
遺伝性乳がん卵巣がん症候群の遺伝学的検査について
三宅 秀彦
1
1お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科ライフサエンス専攻遺伝カウンセリングコース
pp.197-198
発行日 2017年4月20日
Published Date 2017/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209035
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遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)は,臨床的特徴からの診断は不可能であり,生殖細胞系列のBRCA1/2遺伝子の解析によって確定診断がなされる.現在,発端者を対象としたBRCA1/2遺伝子の解析は,全エクソンおよびエクソン─イントロンの境界領域を対象としたシークエンスと,エクソンにおける大きな欠失や重複の検査により行われている.
遺伝子変異が疾患の原因であるかどうかの解釈は,人口データ,コンピュータ予測モデル,機能的データ,家系内の分離比,変異の状況,データベースからの情報,などから判断される.米国臨床遺伝学会(ACMG)では,遺伝子の疾患への影響を,“benign”“likely benign”“uncertain significance”“likely pathogenic”“pathogenic”の5段階に分類することを推奨している1)が,現在,国内で実施されているBRCA1/2に関する遺伝学的検査では“病的変異あり”“意義不明の変異”“遺伝子変異を認めず”の3段階で報告されている.“病的変異あり”の場合には,HBOCと確定診断されるが,遺伝子変異を認めなかった場合だけでなく,意義不明の変異とされた場合でも,確定診断には至らない.
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