症例
腹膜偽囊胞内に出血し巨大腫瘤を形成した若年卵巣出血に対して腹腔鏡下手術を施行した1例
白國 あかり
1
,
武内 享介
1
,
吉田 愛
1
,
武田 晃子
1
,
澤田 茉美子
1
,
杉本 誠
1
,
進藤 千尋
2
1国立病院機構神戸医療センター産科・婦人科
2国立病院機構神戸医療センター放射線科
pp.169-172
発行日 2017年1月10日
Published Date 2017/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208951
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▶要約
腹膜偽囊胞は腹腔内癒着による閉鎖空間に卵巣由来の滲出液が貯留して形成された囊胞性疾患であり,性成熟期女性における報告例が多い.われわれは開腹手術既往のある思春期女性に急性腹症として発症し,卵巣出血を伴った腹膜偽囊胞のために術前画像診断に難渋し,腹腔鏡手術により確定診断,治療可能であった症例を経験した.癒着腔内に卵巣出血をきたした場合,MRI所見がさまざまな修飾を受け,画像診断が困難となる.若年女性であっても腹部手術既往がある場合は腹膜偽囊胞の存在を念頭に置く必要がある.また,腹腔内癒着の精緻な剝離と再癒着防止という観点からは腹腔鏡手術が有効であると考えられた.
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