連載 Estrogen Series・155
更年期後のホルモン療法と動脈硬化症
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.977-978
発行日 2016年10月10日
Published Date 2016/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208883
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1980年代に行われた多くのホルモン療法に関する研究によれば,ホルモン療法は更年期後女性の冠動脈疾患を約50%ほども低下させると当時予想された1).したがって,そのような治療法は冠動脈疾患の治療のみならず,その予防にも有効であると推定された.
しかしながら,その後の大規模試験によると,更年期後のホルモン療法には心血管系に対する効果はみられなかった.ある研究では1年間のエストロゲン─プロゲスチン療法で,かえって冠動脈疾患の増加をみた2).WHI研究では,エストロゲンおよびプロゲスチンの使用により心疾患および脳卒中のリスクは有意な増加をみた3).この研究で,エストロゲンのみ使用した選択肢では,脳卒中の増加がみられ,冠動脈疾患の有意な減少はみられなかった4).
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