原著
慢性骨盤痛を有する子宮内膜症症例に対する腹腔鏡下手術の効果とダグラス窩閉塞の存在による影響
廣田 泰
1
,
甲賀 かをり
1
,
田島 敏樹
1
,
浦田 陽子
1
,
永井 美和子
1
,
泉 玄太郎
1
,
山本 直子
1
,
高村 将司
1
,
齊藤 亜子
1
,
長谷川 亜希子
1
,
原田 美由紀
1
,
平田 哲也
1
,
平池 修
1
,
大須賀 穣
1
,
藤井 知行
1
1東京大学医学部産婦人科学教室
pp.465-470
発行日 2015年5月10日
Published Date 2015/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208422
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要約
腹腔鏡下手術による子宮内膜症病変除去および癒着剝離が疼痛改善に有効であることが知られているが,その効果に影響する因子についての詳細は明らかでない.本研究では,慢性骨盤痛を有する子宮内膜症症例に対して腹腔鏡下手術による子宮内膜症病変除去とダグラス窩開放を含む癒着剝離を行った21症例について,術後の疼痛改善効果を後方視的に検討した.腹腔鏡下手術によって慢性骨盤痛,月経痛,性交痛,排便痛が有意に改善すること,腹腔鏡下手術によってダグラス窩閉塞群ではダグラス窩非閉塞群と比較して慢性骨盤痛の残存が少ないことが明らかとなった.ダグラス窩閉塞のない症例では,腹腔鏡下手術による慢性骨盤痛の改善効果がダグラス窩閉塞症例に比べて高くないことから,腹腔鏡下手術の慢性骨盤痛改善の効果が十分でない可能性を考慮に入れた術後管理を行う必要があると考えられた.
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