連載 FOCUS
子宮内発症胎児中枢神経系障害の病態と診断
岡 明
1
1東京大学医学部小児科
pp.866-870
発行日 2016年9月10日
Published Date 2016/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208862
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はじめに
最新の3D超音波や胎児MRIなどの画像診断技術によって,脳形成障害を胎児期に診断あるいは疑うケースが増加している.そうしたなかで常に問題となるのは,実際の画像的な所見とその病態および予後との関係が必ずしも単純ではない点であり,方針を決める際にも,背景となる病因と予後についての難しい判断がしばしば求められる.
筆者は出生後のそうした中枢神経系の障害の診療を行う立場であり,本稿では子宮内発症胎児中枢神経系障害について主に病因や予後の観点から見た胎児診断の問題点について検討をしてみた.比較的頻度が高く非特異的な所見である脳梁欠損と脳室拡大を取り上げ,背景となる最新の知見を交えて出生前の診断と課題について述べたい.
例えば,脳梁欠損のみで他の合併奇形がない新生児を診察した際に,われわれ小児科医もその予後は正直なところ予測不可能である.先天性の脳梁欠損で,全く正常な発達と思われる児も多く,そうした場合にはそもそも奇形と言えるのかすら疑問になる場合もある.まして,胎内での診断でどこまで言えるのか,その背景となる疾患群の最近の病態も紹介しながら考察したい.
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