Medical Scope
子宮内での胎児の発育促進
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.537
発行日 1984年6月25日
Published Date 1984/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206474
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子宮内での発育の悪い胎児,すなわち,IUGR(intrauterine growth retardation)とよばれる,やせた,皮下脂肪の少ない胎児を何とか子宮のなかでもう少し発育をよくすることはできないものだろうか。この考えは産科の臨床にたずさわっているひとなら,だれでもが抱いている夢に似た希望でしょう。今月はこの話題の今日的な考え方をいくつか解説することにしました。
IUGRといっても,母体が高血圧や妊娠中毒症を合併しているために胎児の発育が悪くなった場合と,胎児自身に奇形や先天異常があったり,胎盤や臍帯の異常のために発育が悪い場合とがあります。前者はこれからのべる対策でいくらかは胎児の発育をよくすることが可能ですが,後者のように,決定的な,しかも,どうしても治すことのできない原因のために胎児の発育が悪くなっている場合には,私たちがどうすることもできないのはいうまでもありません。したがって,子宮内での胎児の発育促進対策というと,主として,母体が妊娠中毒症などの合併症によって発育が遅れている場合に限られます。
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