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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅶ.血液・腫瘍性疾患
30.中枢神経系胎児性腫瘍(髄芽腫,ATRTなど)
CNS embryonal tumors(Medulloblastoma, ATRT, etc)
山崎 夏維
1
YAMASAKI Kai
1
1大阪市立総合医療センター小児血液腫瘍科
pp.989-995
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000688
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はじめに
中枢神経系胎児性腫瘍は,未熟な神経前駆細胞様の細胞からなる非常にヘテロな腫瘍である。病理組織学的には,いわゆるsmall round cell tumorの像を呈することが多く,形態診断が容易でない。髄芽腫は小児の後頭蓋窩に発生する悪性脳腫瘍として,胎児性腫瘍のなかではもっとも古くから独立した腫瘍として記載されていたが,非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍(atypical teratoid rhabdoid tumor:ATRT)でSMARCB1の機能喪失が報告されたことで,WHO2000以降ATRTが独立して記載されるようになった(表1)1)。さらに,その後の遺伝子解析技術の進歩によって,中枢神経系胎児性腫瘍の分子遺伝学的特徴が次々に明らかとなり,2016年の改訂を経て胎児性腫瘍のWHO分類は大きな変貌を遂げ,WHO2021脳腫瘍分類ではさらに遺伝子異常を重視した分類となっている1)。
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