連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール
5回の細胞診および組織診を行ったにもかかわらず診断しえなかった子宮頸がんの1例
脇田 勝次
1
1高山赤十字病院産婦人科
pp.682-690
発行日 2015年7月10日
Published Date 2015/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208478
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症例
患者
74歳,4経妊2経産.
主訴
左下肢痛.
既往歴
67歳 : 強皮症.
72歳 : 喘息,逆流性食道炎.
現病歴
X年11月中旬,左下肢の腫脹に気づき,A病院整形外科を受診.CTや超音波検査を施行したが,特に異常を指摘されなかった.しかし,症状が軽快しないため,12月初旬に当院整形外科を受診した.左下肢の中等度の腫脹と軽度の熱感を認めたが,圧痛は訴えなかった.深部静脈血栓が疑われ,同日外科に紹介された.下肢静脈超音波検査では明らかな血栓・血管拡張などは認められなかった.CTにて子宮頸部の病変は同定できなかったが,左外腸骨静脈起始部の腫脹したリンパ節による静脈の圧迫と子宮内に少量の液体貯留を認めたため,同日当科に紹介された(図1a).
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