連載 FOCUS
悪性腫瘍における腹腔鏡下手術・ロボット手術の展望
井坂 惠一
1
1東京医科大学産科婦人科
pp.340-344
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208241
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はじめに
近年,内視鏡やIVR(interventional radiology)を代表とする低侵襲性の診断・治療法が広く普及しているが,婦人科手術においても従来は開腹手術にて施行されてきた多くの術式に腹腔鏡下手術が導入されてきている.さらにロボット手術の出現により,腹腔鏡下手術も含めた手術領域において新しい大きな波が押し寄せているのは間違いない.実際に米国においてはすでに前立腺摘除術においてほとんどの症例がロボット手術で行われており,本邦においてもロボット支援下前立腺全摘術が保険収載されたこともあり,米国に追従して前立腺がんに対するロボット手術が全国的規模で急速に普及している.
一方,婦人科悪性腫瘍に関しては,腹腔鏡下手術の保険収載がなされていなかったこともあり,他科に比べてその導入は大きく遅れていた.しかし,2014年4月の健康保険改定において子宮体がんに対する腹腔鏡手術の保険適用が承認されたことより,今後本邦においても悪性腫瘍における腹腔鏡下手術が急速に普及してくると思われる.また,従来の腹腔鏡下手術のデメリットを払拭することが可能なロボット手術は,難しい手技を強いられる悪性腫瘍手術において有力な武器になると考えられる.
本稿ではこれらの点を分析して解説したい.
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