連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール
異所性妊娠に対する腹腔鏡手術後に臍創部から腹腔内出血をきたした症例
松村 慶子
1
,
香川 秀之
1
1関東労災病院産婦人科
pp.345-349
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208242
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はじめに
腹腔鏡手術後に腹腔内出血を認めた場合,どこからの出血を思い浮かべるであろうか.まずは手術を行った子宮や卵巣の切除断端や剝離面からの出血であろう.止血が不十分だったか,縫合が有効ではなかったかと考えるに違いない.もし断端部や剝離面の止血を十分に行った自信があった場合,次に疑うのはどの部位からの出血であろうか.腹腔内操作の際に鉗子で臓器を傷つけてしまったか,腸管か,大網か,血管にしては術中に出血はなかったな…と思いを巡らせていく.第1トロッカーを挿入した臍創部からの出血を考えることは,何番目に来るだろうか.
今回われわれは,腹腔鏡手術後にダグラス窩に留置したドレーンから持続出血を認めたため再手術を施行したところ,臍創部の腹膜からの出血が原因であった症例を経験したので報告する.
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