臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XIV.女性性器疾患
子宮溜膿腫 VS 腸管腫瘍
水野 正彦
1
Masahiko MIZUNO
1
1東京大学医学部・産婦人科
pp.2174-2175
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216928
- 有料閲覧
- 文献概要
どのような場合に鑑別が問題となるか
子宮潔膿腫は,子宮体の感染によって生ずる疾患で,いわゆる成熟期には,ほとんどの症例で子宮内操作や流産・分娩など感染を誘起する原因が先行し,また膿性帯下や発熱あるいは下腹痛などの婦人科的症状を訴えるので,腸管腫瘍との鑑別が必要となることは稀である。しかし,閉経以降の高年婦人では,子宮体癌による子宮溜膿腫が多く,この場合には先行する感染の原因が明瞭でなく,また頸管閉鎖のため膿性帯下もみられず,診断がむずかしくなることがある.
一方,腸管腫瘍で下腹部中央に局在し,消化器系症状が著明でないものでは,当然ながら種々の下腹部腫瘤との鑑別が必要で,高年婦人の場合には子宮溜膿腫と鑑別しなければならないことがある.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.