Current Research
子宮内膜癌細胞の増殖とホルモン応答能
寺川 直樹
1
Naoki Terakawa
1
1鳥取大学医学部産科婦人科学教室
pp.845-854
発行日 1991年7月10日
Published Date 1991/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904958
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近年,わが国における子宮内膜癌の発症は明らかに増加している。大阪大学とその関連施設において,手術症例を対象に過去3年間の内膜癌登録を調査した結果,子宮頸部上皮内癌を除く全子宮癌の2割を占めることが判明した。内膜癌に対する治療は手術によりその病巣を摘出することにある。一方,内膜癌は乳癌,前立腺癌と同様にホルモン依存性癌であることから,進行期あるいは再発症例に対しては従来よりプロゲスチンを主とする内分泌療法が行われる。Medroxyprogesterone acetate(MPA)を用いたAndersonの成績1)を初めとして,内膜癌に対するプロゲスチン療法の有効性が報告されている。しかしながら,それら諸家の成績によるとその有効率は20〜30%であり,必ずしもすぐれたものではない。より有効な内分泌療法の確立が望まれる。そのためにはホルモンによる内膜癌の増殖と抑制機構の解明が必須となるが,その良好なるモデルが今迄見当たらないことから,プロゲスチンによる内膜癌の治療機序についても未だ明確ではない。したがって,本研究においてはプロゲスチンによる内膜癌細胞の増殖抑制機序を明らかにしようとした。
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