臨床研修セミナー 外陰疾患—外陰ジストロフィーを中心に
私はこうしている
異形成を伴う外陰ジストロフィーの取り扱い
山辺 徹
1
Tooru Yamabe
1
1長崎大学医学部産科婦人科学教室
pp.477-480
発行日 1989年5月10日
Published Date 1989/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208004
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
従来,外陰において白斑症,硬化性萎縮性苔癬あるいは外陰萎縮症など多くの名称で呼ばれてきた一群の疾患(主に白色病変)は,今日では,International Society for the Study of Vulvar Diseaseの提唱によって外陰ジストロフィーvulvar dystrophiesの名称に統一されている。そして組織学的所見から,これを増殖性ジストロフィーhyperplastic dystrophy,硬化性苔癬lichen sclerosusおよび両者が共存する混合型ジストロフィーmixed dystrophyに分けている。さらにそれらの増殖性表皮に異形成dysplasia (つまり細胞異型)を伴うか否かによって細分類した。一方,外陰上皮内腫瘍vulvar intraepithelial neoplasia (VIN)の概念を導入し,これをVINⅠ(軽度異形成),VINⅡ(中等度異形成)およびVINⅢ(高度異形成および表皮内癌)の3段階に分けた。
したがって,異形成のうちには,増殖性ジストロフィーに伴うもの,混合型ジストロフィーに伴うものおよびジストロフィーを伴わない異形成単独のものの3つの場合が存在する。今日では,外陰扁平上皮癌の少なくとも大部分はこれらの異形成の領域から発生すると信じられている。また異形成の病因としてhuman papilloma virus感染との関連も知られており,臨床的には,これらのことを考慮に入れて異形成の管理と治療がなされるべきである。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.