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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
病理
dysplasia(異形成)
dysplasia
味岡 洋一
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野
pp.720
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202877
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dysplasia(異形成)は,元来(病理総論的には)細胞の分化・形成異常の表現であり,細胞の大きさ,形態,配列の異常などを示す,正常とは異なる増殖性病変に対して用いられる用語である.したがって,腫瘍性病変に限定されるものではない.しかし,間質浸潤をもって“癌”と診断する欧米の消化管病理では,基底膜を破らず上皮内にとどまる上皮性腫瘍に対してdysplasiaが用いられている1)2).胃・腸では,dysplasiaの中で限局性の隆起を形成するものはadenoma(腺腫)と呼ばれ1),一般に平坦,陥凹,周囲との境界が不明瞭なものがdysplasiaと呼ばれる傾向にある2).dysplasiaはその組織異型度からlow-gradeとhigh-gradeに二分されるが3),high-grade dysplasiaには上皮内癌(carcinoma in situ)が含まれるとしている.
病理診断名とは別に,adenoma with high-grade dysplasiaのように,腫瘍性病変の組織異型を表現する用語としてもdysplasiaは用いられることがある.類縁語としてatypiaがあるが,atypiaは腫瘍,非腫瘍全般に対して用いることができる(例:regenerative atypia)のに対し,dysplasiaは腫瘍に対してのみ用いられる.
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