生涯研修セミナー 絨毛性疾患
トピックス
部分胞状奇胎と鑑別を要する胎盤中隔嚢腫
小幡 憲郎
1
Norio Obata
1
1県立がんセンター新潟病院産婦人科
pp.1157-1159
発行日 1988年12月10日
Published Date 1988/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207919
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全胞状奇胎と部分胞状奇胎の定義・診断基準は肉眼的所見によることが明記された。絨毛性疾患地域登録成績によれば,胞状奇胎を全奇胎と部分奇胎に分けて登録を開始した昭和56年の部分奇胎の比率—部分奇胎×100/(全奇胎+部分奇胎)—は19.5%であるが,この比率は増大し,昭和61年には39.5%である。一方,胞状奇胎(全奇胎+部分奇胎)の発生率は女性人口10万対でみると明らかに減少しているが,出生1,000対比あるいは妊娠1,000対比でみると昭和46年〜61年の16年間ではほぼ一定の割合で推移している。このような部分奇胎の相対的増加の理由の一つに胎盤・絨毛の観察がより注意深く行われるようになったことがあげられよう。
胎盤を詳細に観察すると,胎盤実質内に嚢胞性病変を認めることはそれほどまれでない。このような胎盤内嚢胞性病変の内,部分胞状奇胎との鑑別を要する病変に胎盤中隔嚢腫がある。本稿では胎盤中隔嚢腫の臨床病理学的特徴と胎盤内奇胎絨毛(部分胞状奇胎)との鑑別診断の要点につき概説する。
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