生涯研修セミナー 絨毛性疾患
トピックス
hCGの糖鎖構造変化と診断
望月 眞人
1
,
西村 隆一郎
1
Matsuto Mochizuki
1
1神戸大学医学部産科婦人科学教室
pp.1153-1156
発行日 1988年12月10日
Published Date 1988/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207918
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ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は絨毛性疾患においても活発に産生,分泌され,その腫瘍マーカーとしての高い有用性が絨毛性疾患の診断や治療を高度に体系化させ,その予後を飛躍的に向上させてきた。と同時に絨毛性疾患におけるhCGは妊娠時のものと果たして同じものなのであろうかという質的な面での疑問もまた古くから投掛けられてきた。近年,細胞の癌化に伴い,産生される蛋白や糖の構造に変化の生じる場合のあることが次第に明らかとなりつつあるが,糖蛋白ホルモンであるhCGについては古くからその糖成分における変化が荷電性やホルモン活性などから間接的に推察されてきた。1981年我々は1)1例の絨毛癌患者の尿中よりシアル酸を全く含まないhCGを抽出,精製したことで,癌性糖鎖変化に関する研究の緒をつかみ,さらに具体的な構造解析へと研究を進めた。ここでは,絨毛細胞の腫瘍性変化に伴うと考えられるhCG糖鎖の構造変化とその臨床応用における意義について述べる。
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