特集 手術療法の進歩
新手技の導入
進行子宮頸癌に対する一時的血流遮断下動注療法について
山田 龍作
1
,
大門 幹子
1
,
川端 衛
1
Ryusaku Yamada
1
1和歌山県立医科大学放射線医学教室
pp.833-835
発行日 1988年9月10日
Published Date 1988/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207862
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子宮頸癌の治療は現在,手術と放射線によって行われており,良好な治療成績が得られている。しかし,再発癌および放射線感受性のない手術不能の進行癌に対し,従来,有効な治療法はなく,化学療法が主なる治療法となっている。しかし,全身投与では抗癌剤の腫瘍局所濃度を選択的に高めることは困難で,良好な治療成績は期待できない。腫瘍局所薬剤濃度を高めるために,one shot動注療法が行われてきたが,さらに効率よく抗癌剤を投与することを目的として,我々は一時的血流遮断下抗癌剤動注化学療法(balloon occluded arterial infusion,BOAI)2,3)を開発し,行ってきた。すなわち,担癌臓器動脈の血流をballoon catheterにより一時的に遮断した上で,その末梢側動脈に抗癌剤を注入するものである。この方法では,担癌臓器の動脈血流が途絶しているため,注入した抗癌剤溶液は希釈されることなく腫瘍に到達し,局所に長時間滞留し作用することになる。
本稿では,子宮癌に対するBOAIの方法および治療成績について報告する。
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