薬の臨床
経腟走査法により診断し得た子宮外妊娠の1例
貝田 清隆
1
,
生田 克夫
1
,
竹内 一郎
1
,
万歳 稔
1
,
花田 征治
1
,
水野 金一郎
1
,
八神 喜昭
1
Kiyotaka Kaida
1
1名古屋市立大学医学部産科婦人科学教室
pp.491-494
発行日 1988年5月10日
Published Date 1988/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207795
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最近の超音波診断装置のめざましい進歩により,子宮外妊娠の診断においても超音波断層法は重要な役割をになうようになってきた。我々は,新しく開発された経腟プロープを用いて,経腹壁走査法では証明し得なかった胎嚢像と胎児心拍動を子宮腔外に検出し,子宮外妊娠を早期に診断し得た1例を経験したので報告する。
症例は25歳の主婦で,月経遅延の後,下腹部痛と性器出血が出現,経腹壁走査法で子宮腔内に胎嚢像は認めず,経腟走査法で子宮の左後方に胎嚢像と,その中に胎児像,胎児心拍動が検出され,未破裂の子宮外妊娠と診断し,開腹手術を施行した。
経膣走査法は,膀胱充満を必要としないため患者に不快感を与えず,目標とする骨盤内臓器は至近距離に存在するため診断能の高い鮮明な画像が得られる利点を持つ。今後,経膣走査法は子宮外妊娠の早期診断法としても有用な手技となることが大いに期待されるものと考えられる。
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