診療室
子宮外妊娠の腟式手術
矢内原 啓太郞
pp.48-50
発行日 1953年1月10日
Published Date 1953/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200777
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緒言
子宮外妊娠の樣相は千差万別でその手術の難易も初期卵管流産の平易なものから末期腹腔妊娠の極めて困難なものに至るまで一様に論すべくもない。著者の今こゝに記述しようとするのは腹式に極めて平易に手術し得るような卵管妊娠は腟式にも亦容易に手術し得るものであり腟式に手術した場合には患者に与える苦痛が大いに軽減され且つ恢復も速である点を指摘したいためで決して外妊の総てが腟式に手術し得るなどという意味でない。多数臨牀家のなかには之に就て多数経験の方もおられることと考えるがその報告や記載は殆ど見当らないし又成書にも概ね外妊の手術はすべて腹式に行うべきものの如く記述されて腟式手術の可能に言及してない。これも亦著者か本記述を敢て試みる所以でもある。1951年横浜医学会で川島広古氏は外妊腟式手術1例を報告し著者は之に追加発表した。
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