今月の臨床 産婦人科診療とリスクマネージメント
医療事故の実際とリスクマネージメント
1.子宮外妊娠
柴原 浩章
1
,
鈴木 達也
1
,
平嶋 周子
1
,
大野 晶子
1
,
泉 章夫
1
,
鈴木 光明
1
1自治医科大学産科婦人科
pp.137-141
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100618
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はじめに
患者やその家族を含め,国民の医療への関心は各疾患に対する治療成績,すなわち医師および医療機関に対し,より良質な医療を求めはじめているという点に集約できる.同時に,自らがかかわりを持つ主治医に対しては,崇高な倫理観を持ち,心から信頼できる医師像を期待する.その一方で,国民が医療事故にますます関心を高めている現状は,患者・家族・医師・医療機関の間に信頼関係が構築されないまま,医事紛争や訴訟が増加の一途をたどっていることを反映している.したがってわれわれは,どのような状況においても,医療をめぐる社会情勢に常に注意を払い続けなければならない.
以上のような観点と,本来一番に考えるべき患者の健康と安全の保証のためにも,医療サイドのリスクマネージメントが必要とされている.本稿では,われわれ産婦人科医が救急疾患の1つとして日常遭遇する機会の多い子宮外妊娠について,医療事故の予測とその対応を中心に解説する.
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