生涯研修セミナー 卵巣癌
組織分類と頻度
薬師寺 道明
1
Michiaki Yakushiji
1
1久留米大学医学部産婦人科学教室
pp.352-357
発行日 1988年4月10日
Published Date 1988/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207770
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
一般の臨床医ならびに研修医が卵巣腫瘍に関する成書を紐解くとき,まず分類の項で一つの壁に突き当たると思われる。すなわち,日本産科婦人科学会では卵巣腫蕩登録委員会が臨床的立場を考慮した分類(日産婦分類)を示しているし,また国際的には国際産婦人科連合(FIGO)や世界保健機構(WHO)が組織学的分類を示すなど,それぞれの分類を理解するのに相当の時間を費やすことになるからである。また,各々の分類の特徴がある程度理解できたとしても,実際の臨床では病理学的診断用紙の返答を得たとき,診断名をめぐって再び混乱を招いたことも経験されたであろう。このように,卵巣腫瘍に関しては,未だ国際的に統一された分類がないのが現状と言わざるを得ない。しかし,現段階では,各分類相互間における腫瘍の関係を把握しておくことが大切で,もしこの努力を怠ると,患者の治療上に重大な影響を及ぼすことになる。従って,本稿では各分類の特徴と相互関係を要約し,卵巣腫瘍を理解するための一助としたい。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.