症例
出生前に診断された結合体の1例
町田 雅子
1
,
増崎 英明
1
,
山辺 徹
1
,
吉永 宗義
2
Masako Machida
1
,
Muneyoshi Yoshinaga
2
1長崎大学医学部産婦人科学教室
2長崎大学医学部小児科学教室
pp.289-293
発行日 1988年3月10日
Published Date 1988/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207761
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結合体は一卵性双胎胚子の分離不全によって生じるが,その頻度はおよそ50,000例の出生に1例といわれる。従来は分娩時に初めて診断され,母子共に危険にさらされることが多かった。しかし,超音波断層法が汎用されるようになって,最近では,出生前に診断されたとの報告は少なくない。また,かつては出生前には困難であった臓器の検索も可能となってきた。このため,出生後の分離術に関しても,出生前から検討されつつある。初めての結合体分離術は結合部を結紮するだけの簡単なものであった。最近では超音波断層法,CTスキャンなどを用いて,新生児の検索がより詳細に可能となったため,分離術の様相も大きく変化している。その際,最も問題とされるのは,心の融合状態とされる。私どもは,妊娠中に本症と診断された症例を経験したが,この例では心の融合および肺の低形成を認めたため,分離術は不可能と判断された。
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