原著
低悪性度腺腫と化学療法
高見沢 実
1
,
林 雅敏
1
,
矢追 良正
1
Minoru Takamizaw
1
1獨協医科大学越谷病院産婦人科
pp.285-288
発行日 1988年3月10日
Published Date 1988/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207760
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上皮性卵巣腫瘍のなかに病理組織学的に良性と悪性の中間的な境界病変を示し,臨床的には癌腫に比較すると予後が良好である低悪性度卵巣腫瘍が存在する。このような卵巣腫瘍の分類について日本産科婦人科学会では中間群(低悪性度)とし,WHOではcarcinoma of low malignant potential,FIGOはlow potential malignancyとしている。低悪性度卵巣腫瘍の取扱いに対しては各施設により異なる。当教室では臨床的に悪性経過を辿るものがあることより若年者,挙児希望者を除いて原則として悪性卵巣腫瘍と同様に子宮摘出及び両側付属器切除後,化学療法を併用している。今回,低悪性度と考えられるムチン性嚢胞腺腫に対し術後化学療法を施行した症例を経験したので文献的考察を加え検討した。なお,現在外来にて経過観察中であるが転移,再発といった臨床的に悪性を示す所見は認められていない。
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