指標
子宮頸部腫瘍に対するレーザー療法
蔵本 博行
1
,
脇田 邦夫
1
Hiroyuki Kuramoto
1
,
Kunio Wakita
1
1北里大学医学部産婦人科学教室
pp.111-121
発行日 1988年2月10日
Published Date 1988/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207728
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本邦での死亡原因のうち,がんによるものが最も高率であると言われて久しい。事実,肺癌,肝癌,乳癌などは著しく死亡率が上昇してきている。しかし,子宮癌では明らかに年々低下を示しており,他の癌に比較してみると特異的な存在であるといえる(図1)。これは,ひとえに子宮頸癌検診の普及によって,早期発見と早期治療が現実のものとなって来たことによるものであろう。われわれの施設の治療成績でも(表1)1),臨床進行期Ib期以上の進行癌ではまだまだ死亡者は跡を断たないが,上皮内癌(0期)や微小浸潤癌(Ia期)の早期癌では,他病死を除けば生存率100%のレベルにある。老人保健法による子宮癌検診の実施率の向上に伴って,このような好ましい現象がますます増加するものと想定される。すなわち,完全に治りうる子宮癌がどんどん増えるであろうということである。
検診の普及は,頸癌にも増して前癌病変である異形成を多く発見することになり,それとともに患者は若年層に広がって行くことが予想される。すなわち,挙児年齢にある婦人が多くを占めることとなる。このような場合,完全治癒可能な早期癌や異形成では"妊孕性の温存"が大きな期待を抱かせる問題となろう。一方,挙児年齢を過ぎた婦人においても,子宮を残せるものであれば,そうしたいと希望する人達が年々増加している。われわれの外来にこれを希望して来院した女性の最高齢者は74歳であった。
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