薬の臨床
β2-Stimulant (Ritodrine)による特異な副作用について
小林 仁
1
,
村田 哲郎
1
,
荻野 満春
1
,
小池 貞徳
1
,
冲永 荘一
1
,
貝原 学
1
Hitoshi Kobayashi
1
1帝京大学市原病院産婦人科
pp.99-102
発行日 1988年1月10日
Published Date 1988/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207726
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β2-stimulantであるritodrineは強力な子宮弛緩作用を有し,切迫早産の治療薬として広く使用されるようになった薬剤である。大量に使用しても副作用が少ないすぐれた薬剤といわれている。
今回我々はritodrineの大量投与によってきわめて珍しい副作用を呈した2症例を経験したので報告する。
第1例は,爪の白色化と好中球減少をきたした症例である。爪の白色化は一般に爪甲白斑といわれ,爪にkeratohyalincを含む細胞が出現するために生ずるといわれている。爪の白色化はβ作用を有するtrazodoneの投与によっても発症すると報告されており,今後注目すべき副作用といえる。
第2例は強度の胸痛を訴え虚血性心疾患と診断された症例である。β2—stimulantによる頻脈並びに胎盤におけるA-Vshuntに基づく拡張期血圧の低下がその主な発生原因と考えられる。ritodrincの使用にあたっては注意すべき副作用といえる。
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