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はじめに
現在,慢性閉塞性肺疾患における薬物治療の中心となるのは気管支拡張薬である.副作用-効果比から主に内服薬よりも吸入薬として使用される.気管支拡張薬は,息切れの改善,運動耐用能の向上をもたらし,健康関連QOLを改善する.これらの改善は,必ずしも1秒量の改善がみられなくとも期待できる.また,長時間作用型は増悪抑制効果が期待できるが,予後改善・COPDの進行抑制に効果があるかどうかは未解決である.本邦固有の剤型として,貼付型β2刺激薬が上市されており,その臨床的有用性の評価が待たれている.
近年,ガイドラインの整備とともに,大規模臨床研究の結果を元にしたevidence-based medicineが定着しつつある.COPD治療には,従来から抗コリン薬とβ2刺激薬という2種類の気管支拡張薬が吸入剤として使用されてきたが,大規模臨床試験にて有用性が確認されているのは長時間作用型気管支拡張薬(サルメテロールあるいはサルメテロールと吸入ステロイドとの配合剤,フォルモテロール,チオトロピウム)である.短時間作用型気管支拡張薬は,長時間作用型吸入薬を定期治療とした場合におけるrescue therapy(on demand use)として使用され,その使用量の抑制が長時間作用型気管支拡張薬の効果の一指標として用いられている.短時間作用型気管支拡張薬の安定期使用における効果を主眼においた大規模臨床試験はみられない.
本稿では,β2刺激薬について概説するが,その作用機序を検討した少数例での報告を交え,大規模臨床試験で得られた結果を考察したい.
一方,増悪期においては,効果が速やかに発現する短時間作用型β2刺激薬の反復吸入が推奨されており,日常臨床でも汎用されているが,病態の性質上,大規模臨床研究は容易ではない.
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