Japanese
English
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卵巣癌の多発性皮膚転移例
A CASE OF MULTIPLE CUTANEOUS METASTATIC LESION FROM AN OVARIAN CARCINOMA
佐藤 幹男
1
,
松尾 肅
1
,
高田 忠広
1
Mikio SATO
1
,
Susumu MATSUO
1
,
Tadahiro TAKADA
1
1北海道大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology Hokkaido University School of Medicine
pp.271-275
発行日 1960年3月1日
Published Date 1960/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202787
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I.緒言
近年,内臓諸臓器の癌発生率は年六増加の傾向にあるといわれるが,それらの皮膚転移は比較的少く,本邦において,北村教授1)は49例,西村教授等2)は最近10年間に91例をそれぞれ集録しているにすぎない。
転移性皮膚腫瘍は,臨床像ならびに組織学的所見から原発巣の存在を想定し,さらに諸種の検索によりこれを確認し得ることが少くないが,転移皮膚病巣の性状が他の疾患,例えばRecklinghau—sen病3),Hodgkin病4),エリテマトーデス5),梅毒6),或いは丹毒7)等に酷似するために診断に困却することがあり,更に西村,出来8)の報告例の如く肉眼的になんら腫瘍も認め得ず組織学的に偶然に腫瘍転移像を証明した例もある。我々も再三にわたる皮膚腫瘤並びに腫脹淋巴腺の組織学的検査により転移性皮膚腫瘍と推定しつつ,しかも遂に原発巣を確認し得ず,終始診断に苦しんだが,剖検により初めて卵巣原発の腺癌からの皮膚転移であることを判明した例を経験したので報告する。
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