先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
胎児心拍数曲線の考え方—発現機構とその調節
胎児心拍数の発達過程について
小柳 孝司
1
,
中原 博正
1
,
堀 栄一
1
,
原 賢治
1
,
中野 仁雄
1
Takashi Koyanagi
1
1九州大学医学部婦人科学産科学教室
pp.605-607
発行日 1986年8月10日
Published Date 1986/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207437
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この20年来の胎児心拍数解析の足跡を振りかえれば,その趨勢はいまや,胎児仮死に代表される胎児疾病に対する診断的な応用から,むしろ心拍数の背景をなす制御機構の機能的な発達の解明へと主限が移ってきていることは周知のとおりである1〜3)。それは一方では電子スキャンによる諸種の胎動や胎児眼球運動などの観察を介し4,5),近年急速に耳目を集めつつある胎児行動科学への関心と無縁の流れではないが,他方では,NSTと称される心拍数モニターが末期に留まらず広く妊娠早期に至るまで応用されるに及び,胎児の良否の判断に対し,胎令に準拠した評価法の確立が解決されるべき問題として注目されるようになってきている現状にもよっている。
しかしながら,ヒト胎児における本領域の解析的な研究のアプローチは困難であるため,ここでは羊などの動物実験の成績を参照しつつ,文献的な考察を中心に検討を加えてみたい。
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