産婦人科医療--明日への展開 産婦人科とコンピュータ
産婦人科計測情報の予測
胎児監視:コンピュータを用いた胎児心拍数の解析—胎児心拍数の定量的な記述法の開発およびそれに基づく心拍数群の確率的な特性の抽出に関する検討
小柳 孝司
1
,
中野 仁雄
1
Takashi Koyanagi
1
1九州大学医学部婦人科産科学教室
pp.99-106
発行日 1983年2月10日
Published Date 1983/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206756
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超音波断層法の出現によって無侵襲でReal timeの胎児の観察が可能となり,例えば頭尾長(Crown-rump length)1〜3)や大横径計測(Biparietal diameter)4〜7)などのBiometricな情報を基礎に,in vivoにおける胎児発育の様子が明らかにされてきた。さらに,近年の電子スキャン法の応用にともなって,形態にとどまらず,形態の変化の観察を介して,胎児の機能的な評価へと検討がすすめられている8)。
また,経皮的pH測定(TcpH)9,10)や経皮的酸素分圧測定(TcpO2)11,12)などにみられるように,胎児の代謝環境の連続的な観察に関する成績も報告されつつある。そのほか,羊水より得られるBiochemicalなパラメータも胎児の発育や成熟を論ずるうえで欠かせない一翼を担っている13)。そして,これらの方法の一部はすでに日常の臨床のなかで具現化され,胎児監視の重要な手段となり,従来の妊婦の自覚的な症候や理学的な検査による胎児の情報などと合せて,今日,胎児も多角的な観点から高度にIndividualizeされた評価を受けられる時代を迎えている。したがって,広義にはこれらの統合されたものが胎児監視であると考えるべきであろう。しかしながら,本編は一方では産婦人科領城におけるCompu-terizationを共通のテーマとしている事情もあるので,ここでは,双方の接点に位置付けられるものとして胎児心拍数解析をとりあげてみたい。
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