先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
免疫療法の評価
悪性腫瘍に対する非特異的免疫療法
手島 研作
1
,
野田 起一郎
1
Kensaku Teshima
1
,
Kiichiro Noda
1
1近畿大学医学部産科婦人科学教室
pp.367-370
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207384
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Gross,Foleyらに始まる近代腫瘍免疫学の進歩は,担癌生体の免疫能と腫瘍の発生,増殖との間の密接な関連を明らかにしつつある。悪性腫瘍細胞には腫瘍特異抗原(TSA)あるいは腫瘍関連抗原(TAA)といわれる物質があり,担癌生体にはそれから惹起された腫瘍免疫による悪性腫瘍細胞障害機能が認められることから,近年,その免疫応答を増強させることにより抗腫瘍効果ならびに延命効果をもたらすことを目的とした悪性腫瘍免疫療法が普及するようになってきた。
しかし.悪性腫瘍細胞の特異抗原を免疫原として患者を免疫して反応を誘導し,癌細胞を攻撃させようとする特異的免疫療法(specific immunotherapy)は,その免疫原である癌特異抗原が一般に抗原性が低く不安定であるため未だ充分に臨床応用に用いられるには至っておらず,一般的には,免疫賦活剤(immunopotentiator)を用いて非特異的に担癌患者の免疫能を強化して癌特異的免疫反応を賦活し,癌特異的免疫応答の亢進を期待する非特異的免疫療法(non-specific immunotherapy)が行われてきている。
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